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ゴキブリみたいにひっくり返っていたリュータさん [昔話]

昔・・・。

そう。あれはまだ私達が原チャでブイブイ言わせてた頃だったな。
私達は、パチンコ屋の新装開店や処女オープンの時には、目の色を変えて、開店の一時間以上も前から店のシャッターの前に並んだものだった。

ある店の新装開店の時、私と友人が店に到着すると、そこには既に100人近くの人間がシャッター前にしゃがみ込んでいた。
見ると、サッカー部の一学年上の先輩のリュータさんが、一番先頭の列に陣取っていた。
リュータさんは、彼と同学年の人達からタバコやライターを渡されて、
「台キープしてくれよ」
と頼まれていた。
私と友人は、
「今日は台取られへんのとちゃうか」
などと言いながら、後方の黒山の人だかりの中にいた。

そして開店の時がやってきた。
シャッターが上がり始めると、最前列にいた者達は、下にできた隙間から這いつくばるように店内に侵入しようとする。

私も前方に並んだ経験が何回もあるけど、あれは‘戦争’と呼ぶにふさわしい光景や。
地獄絵や。
匍匐(ほふく)前進ができない者は、それだけで‘敗者’や。

そんな光景の中、ふと、ずっと左側の、誰も並んでいなかったシャッターの方を見ると(そこはパチンコ台がない辺りだった)、そちらのシャッターも上がっていっている。
「おい、あっちから入って回り込もうぜ」
と、私達はそちら側から、上昇しているシャッターをくぐって店内に突入した。

突入後、台のある方に回り込んだら、なんと、先輩のリュータさんは床に転がっていて、さっきタバコやライターをリュータさんに渡していた先輩達も含めた、大勢の人達から踏み越えられていってるやおまへんか!

最前列で得意げだったリュータさんの顔は、苦痛にゆがんでいた。

私も台を取るのに必死だったから、その姿は横目でしか見られなかったけど・・・(因みに、もしも私がそこでリュータさんに救いの手を差し伸べていたりなんかしたら、私まで巻き添えを食うのは火を見るよりも明らかで、火を見るどころか、目から火花を出していたに違いない)。

あれは、今でもこの瞼にしっかりと焼き付いている至極印象的なシーンで、きっと一生忘れることはない。
のちに、それは‘リュータのズッコケ話’ということで、校内でのお笑いの語り草になったしね。

新装開店初日のその日、最前列に陣取っていたリュータさんは台を取られへんかったんや。
リュータさんは単なる敗者にしか過ぎんかったんや。

次の日、その店の新装開店二日目にリュータさんの姿はなかった・・・。


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kobakoba

リュータさんには申し訳ないが 笑えます 今でもパチンコ屋の前には朝早くから行列ができています リュータさんのような犠牲者が出ないことを祈るばかりです 高額納税者にパチンコ経営者が名を連ね 脱税者にも名を連ねます さぞかし儲かっているのでしょうね
by kobakoba (2007-06-11 09:04) 

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