サウスセントラル地区のあちらこちらで暴挙が振るわれているロサンゼルスの街にも夜の帳(とばり)が下りてきた。
ヘリからの空撮の生映像を見ていると、火の手が上がっているところがあるのが見えた。
よく見ると・・・
お、あっちにも!
わ、こちらにも!

あっという間に無数の出火が街の至るところで確認された。

ふと気がつくと、ハリウッドに住んでいたオレのアパートの上空でもテレビ局か、または警察の‘Chopper(つまり、ヘリコプターのことね)’が近づいては遠ざかり、遠ざかっては近づいて、バリバリと爆音を響かせていた。

テレビでは、ある時間からどこのチャンネルでも、

「CURFEW」、「curfew」、「Curfew」、「カーヒュー」、「ヒュ~ヒュ~」、「イエ~イ♪」

なんて言ってる(最後の二つはウソだけど)。

『なんやねん。その単語』

恥ずかしながら、オレはその時に初めて聞いた言葉だったよ。

オレはビデオデッキにテープをセットして、適当なチャンネルをランダムに録画しまくったよ(何しろ前回書いたように全てのチャンネルが‘臨時ニュース’を流してたからね)。

アメリカのテレビが凄いと思うのは、そういう‘ただ事でない事’が起こった場合、特に三大ネットワーク(ABC、CBS、NBC)の系列はコマーシャルもはさまずに、そしてレギュラー番組なんか飛ばしてひたすらニュースを流し続けるところだな。

あの暴動の時も、2、4、7チャンネルの三大ネットワーク系列は、オレが記憶している限りだけでも、少なくとも29時間以上CM抜きでず――――――っとニュースを流してたよ。
オレの方が疲れて、途中で眠ってしまったからね。

とにもかくにも、あの暴動に関してはもっともっと、色々あったことを細かく書きたいと思うけど、それを書くことによってL.A.のイメージがあまりに悪くなり過ぎるのも良くないと思うから、この辺でやめときます。

そして、いよいよ次回、今回の話の核心に迫ることにするんダヨーン。